By Daisuke Kawasaki
前回までのあらすじ
BMOカバレージで新人ライターを採用してみた。
こういった経緯で、採用されることになった新人ライターの浅原 晃。
そこで、8人構築でオリジナルのデッキで3勝するというミッションを与えられる。
だが
新人ライターの8人トーナメント奮戦記-デッキ構築編
こうで
新人ライターの8人トーナメント奮戦記-デッキ実践編
といった感じで、結局目標が達成できないという体たらく。
新人ライターは口ばっかりでスゥルタイへの信心が足らないんじゃないかという意見まででる始末。
結局、約束を果たしていないのだ。なにが本気(マジ)のマジック、略して本気ックだよ!冗談みたいなこと言ってんじゃねーよ!
終わりの始まり
と憤慨していると、カバレージチーム統括のリュウジが僕の所にやってきた。
川崎「あ、リュウジさん、お疲れ様です!」
リュウジ「おお、川崎ちゃん、ちゃんおつ。あのさぁ、相談があるんだけどさ」
川崎「なんすか、リュウジさん」
リュウジ「あいつ……新人のあいつにもう一度チャンスをやりたいんだけど」
川崎「え!?何いってんですか、リュウジさん!だって、あいつ、結局スゥルタイで3連勝できなかったじゃないですか!」
リュウジ「いやさ……あいつの目に惚れちまってさ。もう一度、あいつの本気(マジ)ックにかけてみたいんだよ」
川崎「あ、そすか」
というわけで、リュウジたっての頼みということで、浅原に二日目もスゥルタイのデッキで8人構築に出てもらうこととなった。
川崎「というわけで、浅原くん、今日も8人構築でてもらうから」
浅原「うーん……いや、まぁ、いいんすけどぉ」
川崎「どうした?」
浅原「もっといい企画思いついたんすよね」
川崎「なに!?新企画?」
企画と聞けば眼の色が変わるのはだれでも同じだ。
川崎「なに、新企画って?」
浅原「あの、チャーム検定ってどうすか?」
川崎「なに、それ?」
浅原「いや、チャームの能力を3つとも言えるか、って検定なんすけどね」
川崎「馬鹿にするなよ!それこそ、《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》だって全部いえるわ!」
浅原「じゃあ《象牙の魔除け/Ivory Charm》は?」
川崎「え?」
浅原「《象牙の魔除け/Ivory Charm》の能力は?」
川崎「ちょっとまって……マジで思い出せない……えっと、白っぽいけど、確かビジョンズのカードだから……」
浅原「ミラージュっすね」
川崎「わかったよ!うーん、当時の白っぽい能力か……なんだろ……確か戦闘ダメージを軽減するとかありそうな気が。《濃霧/Fog》って白にもあったような……」
浅原「それ《暁の魔除け/Dawn Charm》っすね」
川崎「そうか……次元の混乱のやつだから、結構最近か……うーん……すべてのクリーチャーが+0/+2とかありそう?」
浅原「あー、惜しいっすねぇ」
川崎「惜しいかぁ……なんだろ、わからない、降参」
浅原「クリーチャー1体タップと、1点軽減と……すべてのクリーチャーが-2/-0っすね」
川崎「あー、-2/-0か……ほんと惜しかった……」
浅原「続いて第2問!」
川崎「だから、チャーム検定はいいから!8人構築出てよ!」
浅原「《若木の魔除け/Seedling Charm》の能力は?」
川崎「あー、なんだろ……なんか、1/1の苗木トークンとか生み出しそうじゃない?」
浅原「いやいや、それ、名前から連想しただけでしょ」
川崎「あぁ、そうか……って、待て!だから、チャーム検定はもうわかったって!」
浅原「なにがわかったんすか?」
8人構築にでない気がわかった。
というわけで、浅原は自分のデッキにまったく責任を取るつもりが無いことだけはよくわかった。
責任転嫁されし犠牲者
これ以上、浅原と話していても筆者の魔除けへの知識が深まるだけである(ちなみに、《若木の魔除け/Seedling Charm》の能力は、クリーチャーについたオーラを手札に戻す、緑のクリーチャーを再生する、クリーチャー1体にトランプルをつけるだ、って言ってて、第三問は《熱病の魔除け/Fever Charm》だった)。
ここは諦めて、最低限のリュウジへの義理を果たすしか道は残されていない。
そもそも、浅原は昨日、トーナメント終了後に語っていたのだ。
浅原「デッキは強かったんすけどね……ただ、あれっすね、今日はオレの元に星が無かったですね」
デッキは強かったけど自分がダメだった……ならば、本人以外の、超強力なトッププロにデッキを使って貰えばいいのだ。
そして、ここはBigMagic主催の大会……ということは、浅原の代わりに犠牲者、もとい参加者になるトッププロは決まっている。
BigMagic契約プロの市川 ユウキだ!
というわけで、さっそく市川の元に向かい交渉する。
川崎「あ、市川さん、お疲れさまです」
市川「あ、どもっす。どうしました?」
川崎「実はちょっとお願いしたいことがありまして……」
市川「なんすか?やれることならなんでも協力しますよ」
川崎「実は、8人構築戦の参戦体験記事みたいのに協力してもらいたくて」
市川「お安い御用ですよ」
というわけで、ちょうど参加者が後1名で締め切りだった8人構築に並んでもらい、エントリーを済ませてもらう。
市川「そういや、デッキは本戦で使ってたのと同じでいいんすか」
川崎「あ、すみません、いい忘れてました。このデッキ、使って下さい」
市川「これ、見たことあるやつだ!」
24land
4 《神秘の神殿/Temple of Mystery》(ths)》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》(ktk)》
10《森/Forest》(ths)》
4 《島/Island》
2 《沼/Swamp》(ths)》
8creature
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》(m15)》
4 《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》(ktk)》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》(ths)》
28spell
4 《ケイラメトラの指図/Dictate of Karametra》(jou)》
4 《時を越えた探索/Dig Through Time》(ktk)》
4 《最悪の恐怖/Worst Fears》(jou)》
4 《拠点防衛/Defend the Hearth》(ths)》
3 《霊気渦竜巻/AEtherspouts》(m15)》
2 《啓示の解読/Interpret the Signs》(jou)》
2 《悪逆な富/Villainous Wealth》(ktk)》
1 《再供給/Restock》(m15)》
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15sideboard
4 《女王スズメバチ/Hornet Queen》(m15)》
4 《賢いなりすまし/Clever Impersonator》(ktk)》
3 《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing
Wave》(bng)》
1 《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》(ktk)》
1 《ギルドパクトの体現者、ジェイス/Jace, the
Living Guildpact》(m15)》
1 《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》(m15)》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》(m15)》
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川崎「なんか、市川さんの意見を最大限に取り入れて改良したらしいですよ」
市川「いや、さすがにこれは勘弁してくださいよ……」
川崎「さっき、なんでもやるっていいましたよね?」
というわけで、無事大会がスタートする。
さぁ、プラチナプロの実力、存分に見せつけていただこう!
第1回戦
Game 1は、赤単の対戦相手にX=7程度で《悪逆な富/Villainous Wealth》をプレイし、そこでめくれた《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》や《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》で一気に押し切って勝利。
相手のライブラリーがなくなるレベルのXでしか《悪逆な富/Villainous Wealth》をうたない浅原とは大違いだ。
Game 2こそ、普通に相手のクリーチャーに押し切られてしまったものの、Game 3では、《悪逆な富/Villainous Wealth》をうつと、相手の山札から大量の《軍族の雄叫び/Howl of the Horde》と《軍族童の突発/Hordeling Outburst》……そして《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》!
こうして、友情コンボで市川は第1回戦を勝利する。
市川「いやぁ、対戦相手も、すごい喜んでくれて、楽しいデッキですね」
川崎「どうです?プレイマットゲットできそうですか?」
市川「ワンチャンある、いや、25%くらいありますね」
川崎「4人中1人だから、元々25%ですよ」
なにわともあれ、このまま突き抜けることに期待したい。昨日、密着記事をやらせてもらっても思ったのだが、市川はプレイがうまいだけでなく勢いのあるプレイヤーだ!
これは、もしかしたら……
第2回戦
特に見せ場も無く2連敗。
そうだった、この人、3敗してドロップしてるんだった……勢い無いじゃん!
市川の選択
このまま終わってしまうのもなんなので、市川に実際に使用した感想を聞いてみた。
市川「そうですね、とりあえず《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》はすごい良かったです。ただ、メインの《拠点防衛/Defend the Hearth》が減ったのなんでなんですか。これはこのデッキでかなり強い方のパーツだったと思うんですけど」
川崎「そんなに強かったですか?」
市川「コンセプトにあってます。《ケイラメトラの指図/Dictate of Karametra》を置いて、1枚土地があれば相手のアクションから身を守れますからね。そこで自分のターンを迎えれば、勝ったも同然」
川崎「本人も、緑の《Time Walk》って言ってましたよ」
市川「あぁ、でもそんな感じ」
川崎「黒い《Time Walk》の方は?」
市川「黒い《Time Walk》!?あ、《最悪の恐怖/Worst Fears》のこと!?これ、絶対2回うたないでしょ、うったら勝ちだよ。なんで4枚もはいってるの?これの2枚めをひくのこそが最悪の恐怖だよ!」
川崎「じゃあ、ここは2枚に減らせと」
市川「そうですね。これを《拠点防衛/Defend the Hearth》と《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》にして……あと、《悪逆な富/Villainous Wealth》は増やしたかったですね。デッキに1枚だとスナック感覚でうてないじゃないですか。序盤に小さめの数字で打って、盤面を整えたりできるのに、なんで1枚に減ってるんですか」
川崎「なんか、《啓示の解読/Interpret the Signs》でめくれた時に3枚しか引けないのが気に食わないんですって」
市川「そもそも《啓示の解読/Interpret the Signs》が入ってるのが気に食わないよ!この2枚を《悪逆な富/Villainous Wealth》にすればいいですよ。《悪逆な富/Villainous Wealth》は使ってみて思ったけど結構強いカードですね」
川崎「なるほど……これならデッキももっと強くなると」
市川「いや……聞かれたからこのコンセプトで強くなる方法探しましたけど……コンセプト見なおした方がいいんじゃ」
川崎「元も子もないですね」
市川「そもそも、スゥルタイでももうちょいなんかあるような……っていうか、本当はマナベースについてもすごい言いたいこと一杯あるんですけど、そこは話し始めると15分とかになるんで、省略します」
川崎「でも、《悪逆な富/Villainous Wealth》は強いんですよね?」
市川「良いカードですけど、1000枚買うほどではない」
というわけで、そもそもコンセプトを見なおした方がいいのはこの記事の方なので以上のコメントをそっくり浅原に届けて終わりしよう。
浅原「どういうこと!?どういうことだよ、それ!」
浅原「なに、なんなの!?オレのデッキの、スゥルタイのデッキの美学の何がわかるのよ、あいつに!そもそも、《最悪の恐怖/Worst Fears》は何度でもうちたいし、《啓示の解読/Interpret the Signs》でめくれたら8枚引けるんだから、4でしょ!オレは8枚ひきたいの!それに、《拠点防衛/Defend the Hearth》だって、あいつが「《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》なんて《濃霧/Fog》っすよ《濃霧/Fog》」っていうから、《拠点防衛/Defend the Hearth》の代わりにいれたんじゃねーかよ!ほんと、あいつはマジックを、そしてスゥルタイをなんにもわかってねーよ!この怒り、どうやっても収まらん!激おこっすよ、激おこ!憤怒の極みですわ!」
川崎「《憤怒の魔除け/Fury Charm》の能力は?」
浅原「あ、アーティファクト破壊とクリーチャーに+1/+1トランプルを与えるのと、あと、パーマネントか待機状態のカードから時間カウンターを2個取り除く、っすね」
川崎「怒り収まったじゃないですか」
浅原「やっぱ、チャーム検定っすね」
おわり
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