by Asahara Akira
これは、新人ライターの浅原がサイドイベントの８人トーナメントに挑む記録である。
【信頼できない語り手／Unreliable
narrator】
アブザン、ジェスカイ、マルドゥ、ティムール、スゥルタイ、５つの氏族が覇権を争うタルキール覇王譚。《包囲サイ》を擁するアブザンは重厚な戦線を築き、ジェスカイは火力と速攻を駆使したテンポ戦略に優れ、マルドゥは豊富な除去を使ったコントロールデッキとして機能し、ティムールは《凶暴な拳刃》の攻撃性と《火口の爪》の一撃性を兼ね備えたビートダウンを得意とする。そして、スゥルタイは、ん？
スゥルタイは何だろう、猫デーモン？
直近のプロツアーやグランプリで目立った成績を残せていない氏族はスゥルタイだ。確かに、スゥルタイのカードは単体での見た目がそんなに強く見えない。探査という能力は抜群に強いのだが、単色のカードに備わっているため、スゥルタイ特有の能力というよりは、他の氏族でも使うことができてしまう、というか、ジェスカイなどでブイブイ言わせているのが現状だ。しかし、強く見えないということは、強くないとイコールではない。いわゆる、玄人向きの氏族という位置づけとも言える。つまり、ポテンシャルを引き出しさえすれば、強力なデッキとなる可能性もある。
しかし、そんな、玄人向けの氏族を好んで使うような人が居るのだろうか、と考えていたところにそういえばと思い出した。いる。王道を避けることを生きがいとしている天邪鬼系プレイヤーが。しかも、タルキール環境の初期である前回のプロツアーで使っていたような。
幸いにして、偶然、ＬＩＮＥが繋がったので、その人物にレシピを聞くことにした。
浅原『プロツアーで使ったスゥルタイのレシピきぼんぬ』
ヤソ『0／3インパルス道探しテラーはち、まあ、後は流れでお願いします』
浅原『サンキュー』
プロツアーでは結果が振るわなかったようだが、かといって、そのデッキが失敗とは限らない。これから挑むのは、８人構築トーナメント、デッキを試し、自分自身の手で強さを測るには絶好の機会なのだ。
さて、デッキを作ろ……
いや、ちょっとまてよ、0／3、インパルス、テラー？
これは一体何のカードを指して居るのだろうか。
【デッキの探究者／Seeker
of the Deck】
ここで、もう1回聞くという手もあると思うが、もちろん、それには及ばない。与えられた条件で、的確な判断で物事を進めていくのはデュエリストにとって必要な能力だ。それに、十分に情報を貰っている。それをもとに、八十岡が使ったプロツアーデッキを再現していくとしたい。
まず、0／3であるが、これはパワーとタフネスを指すのは間違いない。となると、候補は《春の具象化》か《森の女人像》か、どちらもマナ加速に関連するものなので、マナ加速して何かをするというデッキなのだろう。ここではとりあえず、《森の女人像》を採用。
 
そして、インパルスはかつての《衝動》の効果をオマージュしたカードと予想できる。となれば、効果的にはダブルインパルスと言って差し支えない、《時を越えた探索》が第一候補に挙げられる。ここから、連続して推測するに、道探しは墓地を肥やしつつ土地を確保できる《サテュロスの道探し》に違いない。これで、探査の効果も有効に使っていける。
次にテラーであるが、これは一番簡単だ、この環境で恐怖の名を関する最高のカードはただ1つ、それは、《最悪の恐怖》に他ならない。しかし、《最悪の恐怖》は８マナであるため、より爆発的なマナ加速が必要になるのは明白だが……そうか、分かった、マナブーストに使われるのは、《ケイラメトラの指図》か。マナを実質2倍にする《ケイラメトラの指図》さえあれば、どんな重い呪文も好きに使うことができる。
となれば、フィニッシャーとして、スゥルタイカラーのスペルでマナさえあれば超絶強いでお馴染みの《悪逆な富》が採用されているのは自明の理。さらにヤソは《好機》が好きだったはずなので、同じマナ域のドロー呪文である《啓示の解読》も投入。８枚引ける可能性も高く、時には0枚すらもあるという、まさに敵味方含めてあらゆる意味で超好機と呼べる呪文にはドローマニアも垂涎の1枚だろう。
そして、残りのハチは、適当にサイドボードに突っ込んでデッキ完成。
【ヤソオカ―の魂／Soul of
Yasookaa】
相手の攻撃を耐えるための要素として、《拠点防衛》と《霊気渦竜巻》を採用し、マナ加速として《豊穣の泉》を追加してデッキ完成。
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| sample
deck |
24land
4 《神秘の神殿/Temple of Mystery》(ths)》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》(ktk)》
10《森/Forest》(ths)》
4 《島/Island》
2 《沼/Swamp》(ths)》
8creature
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》(m15)》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》(ths)》
28spell
4 《ケイラメトラの指図/Dictate of Karametra》(jou)》
4 《時を越えた探索/Dig Through Time》(ktk)》
4 《最悪の恐怖/Worst Fears》(jou)》
4 《拠点防衛/Defend the Hearth》(ths)》
4 《豊穣の泉/Font of Fertility》(jou)》
2 《霊気渦竜巻/AEtherspouts》(m15)》
2 《啓示の解読/Interpret the Signs》(jou)》
3 《悪逆な富/Villainous Wealth》(ktk)》
1 《再供給/Restock》(m15)》
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15sideboard
4 《女王スズメバチ/Hornet Queen》(m15)》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》(bng)》
4 《思考囲い/Thoughtseize》(ths)》
3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》(m15)》
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サイドボードにはコンボデッキ特有のアグレッシブに移行できるように、適当に強そうなカードを突っ込んでおいた。
さあ、行こう、ヤソのプロツアーでの無念は、俺がこのスゥルタイデッキ晴らす！
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