By 森安元希
"勝てば、プロツアー"。
この響き聞ける機会は、今後、RPTQ(プロツアー地域予選)に限られていく。
その響きを残したPTQの、決勝戦。
自らより色の少ない赤白戦を制してきたマルドゥの松本。
自らより色の多いスゥルタイ戦を切り抜けた青黒のユン。
三色であることも、そしてまた二色であることも、弱みではない。
これまでの11回戦が2人に与える自信を強さに変えて、ゲームが始まる。
Game 1
お互いキープ。
ユン《進化する未開地》。
松本、《静寂の神殿》。
見慣れたタップイン同士のスタートだ。
ユン、《進化する未開地》起動を遅らせる。
次ぐセットは《汚染された三角州》。土地が詰まっているのかもしれない。
松本の《道の探求者》が当然、通る。
ユン、青青を用意できない《光輝の泉》を3枚目に置かざるをえないようだ。
松本も《遊牧民の前哨地》と《道の探求者》のアタックのみで動きはなし。
ユン、4枚目の土地が置けない。
松本の《紅蓮の達人チャンドラ》も通さざるをえない。
苦渋の決断で《汚染された三角州》から《沼》で《胆汁病》を《道の探求者》へ。
2枚目の《胆汁病》で《ゴブリンの熟練扇動者》は退ける。
《道の探求者》が追加され―…3枚目の《胆汁病》。
マツモト、3枚目の《道の探求者》で返す。
ユンのセットランドは《沼》《沼》《光輝の泉》《光輝の泉》―…
5枚目にようやく《島》。青マナを引き込めた。
《紅蓮の達人チャンドラ》の±0は《紅蓮の達人チャンドラ》をめくる。
そのまま唱えて《道の探求者》のクロックを上げていった。
ユンの力強いセットランドは《島》!青のダブルシンボルを持つ呪文書の鍵を手に入れた。
そして松本にビッグ・アクションはない。
ユンにようやく《時を越えた探索》の使用が訪れる。
《紅蓮の達人チャンドラ》の±0は《残忍な切断》。
不要牌だが、これは占術で下に送ったとも取れる。
《紅蓮の達人チャンドラ》に3回の起動を許したあと、ようやくユンが《英雄の破滅》で対処する。
松本、《ゴブリンの熟練扇動者》。
ユン、《無効化》。
もう1枚ハンド溜めていた《ゴブリンの熟練扇動者》、通る。
松本にターンが戻れば一挙にクロック・スピードを加速させるのだが、
それを諌めるユンの《精霊龍、ウギン》が咆哮して、戦場が凪いだ。
これを、ウギンをニコルから守るマジックの物語と背反するように、松本の《龍語りのサルカン》が打ち倒す。
ユンの《英雄の破滅》で全くの更地。
松本が《マルドゥの魔除け》のトークン・モードでクロックを再度設置する。
既に《胆汁病》を殆ど使っているユンだが、これを奮励した《信者の沈黙》で対処した。
しばらくお互いに動かずのあと、ユンの《時を越えた探索》が盤面を流動的にする。
そのまま《ジェイスの創意》でハンドを完全復活させる。
しばらく土地を止めていたユンの土地が、既に15枚を数えていることでもロング・ロング・ゲームの様相はわかりやすい。
(このとき、マツモトのハンドに3枚の《岩への繋ぎ止め》がたまっている)
マツモトの《骨読み》は《解消》。
やがて、土地が18枚並ぶころ、ようやくユンが《真珠湖の古きもの》にたどり着いた。
《岩への繋ぎ止め》
《はじける破滅》
《岩への繋ぎ止め》
《はじける破滅》
《真珠湖の古きもの》が戦場とハンドを数え切れないほど行き来する。
その度にユンの土地は数を減らすのだが、それでも8ある。
松本、3枚目の《岩への繋ぎ止め》でようやく《真珠湖の古きもの》を捉えた―…
だが、そこにユンの《危険な櫃》が待ちふせていた。
櫃によって《岩への繋ぎ止め》から解き放たれた《真珠湖の古きもの》が《勇敢な姿勢》の破壊・モード。これはユン、《否認》。
その後、《はじける破滅》。《真珠湖の古きもの》、これで五度、ハンドへ戻る。
土地7枚フルタップからの《真珠湖の古きもの》を、《稲妻の一撃》《マルドゥの魔除け》で長い長い攻防の末、遂に撃ち落とす。
互いに訪れた、ひと時の静寂。
そう遠くなく、2枚目の《真珠湖の古きもの》が現れるまでは。
ユン 1-0 松本
Game 2
ワン・マリガン同士。
松本の初動《道の探求者》がアタックを繰り返す。
ユンは2度目のアタックをボディに受けたあと、《英雄の破滅》。
次なる《道の探求者》も《英雄の破滅》でクロックをしっかり止めていく。
攻め手を休まったところに、《悪夢の織り手、アショク》。
これを0枚の損失で打ち倒す数少ない《嵐の憤怒、コラガン》の疾駆は《無効化》された。
《悪夢の織り手、アショク》が少しずつ肥え始める。
少しずつ、少しずつ―…忠誠度15から、奥義を起動。
スタックで《稲妻の一撃》《はじける破滅》で打ち倒すものの、ハンドは、空。
マツモトはハンドの《嵐の憤怒、コラガン》のために《マルドゥの魔除け》をハンデス・モード。
だがカウンターと除去が複数枚ずつあり、安全を担保できず唱えられない。
今度は打ち倒す術が揃わぬうちに、《真珠湖の古きもの》が現れた。
ユン 2-0 松本
ユン Win!
スタンダード、全12回戦を制しきったユン・スハン。
そして青黒コントロールの強さが再主張される結果となった。
決勝トーナメント中だけでも土地詰まりが何度かあったが、挑んでいるゲーム・スパンの長さでその損失を取り戻したのが特徴的であった。
ユン・スハン。おめでとう。
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