By Daisuke Kawasaki
渡辺「いや、これ、もうただの虐殺ですよ。どうやって勝つんだ?まったく勝てる気がしない」
渡辺なりにチューンナップを重ねたジェスカイトークンでスイスラウンドを駆け抜け決勝ラウンドにコマをすすめた渡辺。だが、それだけ勝っている渡辺がこれほどまでに恐れる相手とは。
芹澤のデッキ、それは《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》を使用したループデッキなのだ。
芹澤「でも、このマッチアップ言うほど練習してないだけでしょ」
渡辺「いや、もう、脳内で考えるだけでわかる。勝つビジョンがない」
芹澤「そんなこといって勝つんでしょ?」
渡辺がこれほどまでにいう理由はただひとつ。渡辺はジェスカイループがここまで勝ち抜くほどのデッキと評価していないので、サイドボードにコンボ対策のカードを1枚もとっていないのだ。
Game 1
初手の最初の3枚が占術土地が2枚と《ジェスカイの魔除け/Jeskai
Charm》という状況で「残りの4枚から鼓動を感じる」とかいいながらチェックし、《平地/Plains》《戦場の鍛冶場/Battlefield
Forge》《道の探求者/Seeker of the
Way》《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》と序盤の展開ができる内容なのを見て「わたしはこの7枚をキープします」と宣言した渡辺。
それを聞いて「ナベのキープかー」と悩みつつも芹澤も初手をキープする。
スイスラウンドで上位の渡辺が先手で、まずは《天啓の神殿/Temple
of Epiphany》をセットし、2ターン目に《道の探求者/Seeker
of the Way》をプレイ。芹澤も2ターン目に《前兆語り/Omenspeaker》をプレイし占術をする。
そして、3ターン目。《戦場の鍛冶場/Battlefield
Forge》をセットし、渡辺が早くも長考をする。結果、《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》をプレイし、産み出された1/1の『市川ユウキ』トークンと《道の探求者/Seeker
of the Way》でアタック。
芹澤「じゃあ、瀬畑(市川)」
渡辺「瀬畑でいいのね」
芹澤「ごめん、適当に考えすぎた……本当に瀬畑か……」
少考の結果、初志貫徹で1/1トークンをブロックする芹澤。
ジェスカイカラーのデッキとしては理想的な展開を見せる渡辺を相手に、今度は芹澤も3ターン目に長考。結果、土地を置く前にまず《テイガムの策謀/Taigam's
Scheming》をプレイする。
めくれたカードのうち、《シヴの浅瀬/Shivan
Reef》《時を越えた探索/Dig Through
Time》《神々との融和/Commune with
the Gods》《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw
Mystic》を墓地に送り込むと残る一枚を山札のトップへ。そして土地を置いてターンを終了する。
4ターン目、今度は渡辺が考える番だ。
渡辺「ちょっとまって、今、ジェスカイループの決まるパターン必至で思い出してるから。こいつ1体の状況から決まるんだっけな……」
結果、まずは3マナで《軍族童の突発/Hordeling
Outburst》をプレイして3体の1/1トークンを生み出すと、戦闘フェイズに生み出された1/1を1体とともにすべてタップして招集で《かき立てる炎/Stoke
the Flames》を《前兆語り/Omenspeaker》へとプレイ。
これによって、ブロッカーがいなくなった芹澤はすべてのダメージを通して6点のダメージで残りライフは12となる。
芹澤は《森の女人像/Sylvan Caryatid》をプレイしてターンを返す。次のターンにはコンボが決まりそうな状況を作り出す。
しかし、渡辺がすべてをレッドゾーンに送り込むと、《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》のパワーは致死レベルになってしまうため、この《森の女人像/Sylvan
Caryatid》でのブロックをしなければならない。
ブロックすれば通るのは、5体のトークンと、2/2の《道の探求者/Seeker
of the Way》で7点。ライフは5点残る。
だが、渡辺が初手から温存していた《ジェスカイの魔除け/Jeskai
Charm》での4点と、誘発した《道の探求者/Seeker
of the Way》の果敢による+1/+1がぴったりライフを削りきったのだった。
渡辺 1-0 芹澤
渡辺「さすがにドブンだった」
芹澤「今日一番のドブンだったんじゃない?」
渡辺「認めよう。今日一番のドブンだった。カード1枚も余らなかった」
芹澤「オレも《前兆語り/Omenspeaker》殺されてなければ、次のターンに決まったのにな」
渡辺「あそこはすごい考えたからね……でもこれで使い切ったかもしれない」
Game 2
芹澤「うーん、まぁ、キープで」
渡辺「『まぁ、キープ』か……『よし!キープ』じゃないのか……じゃあ、オレもまぁ、キープで」
芹澤「あー、もう、ほんとやだ」
だが、同じセリフを、2ターン後に芹澤が《森の女人像/Sylvan
Caryatid》をプレイしたことで、今度は渡辺の口から聞くことになる。
渡辺「あー、もう、ほんとやだ」
これでいつでも決まりうる状況が完成してしまったわけだ。芹澤は続くターンに、《前兆語り/Omenspeaker》占術で必至に山札を掘り下げコンボパーツを探す。
渡辺はそのターンエンドに《急報/Raise the
Alarm》で戦士トークン(こちらは渡辺の写真のトークンだ)を生み出すと、続いて《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》をプレイし、3体のトークンでアタックする。
芹澤「おれ、これで次のターン死ぬとか無いよな」
渡辺「さすがにさすがに」
芹澤「いや、ワンチャンくらいはあるでしょ」
渡辺「たしかにたしかに、ワンチャンはある」
ということで、長考する芹澤。実はコンボパーツは揃っているが土地が足りないのだ。仕方なく1ターン先送りする《テイガムの策謀/Taigam's
Scheming》をプレイし、そして土地をトップに積み込む。
こうなると今度は渡辺が見えないプレッシャーに怯える番となる。
「次、決まるのかなー」と考えつつ、まずは戦闘フェイズに入り、そして攻撃クリーチャー宣言後に《ジェスカイの魔除け/Jeskai
Charm》の能力で、《前兆語り/Omenspeaker》を山札のトップへ送りたいと伺いを立てる。
芹澤「うーん、これがトップに行っちゃうとダメなんだよな」
そう、トップには芹澤が何よりも欲しい土地が。芹澤は《撤回のらせん/Retraction
Helix》をプレイし、《前兆語り/Omenspeaker》を手札に戻す。ブロッカーがいなくなったため、攻撃はすべて通り、芹澤のライフは9。
芹澤はターンを迎えると、土地を置き、《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》をプレイ。そして、《贈賄者の財布/Briber's
Purse》をプレイすると……さらに、《森の女人像/Sylvan
Caryatid》を対象に《撤回のらせん/Retraction
Helix》をプレイする。
これによって、《森の女人像/Sylvan Caryatid》をタップするたびに《贈賄者の財布/Briber's
Purse》が手札に戻り、《贈賄者の財布/Briber's
Purse》をプレイすると《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》の能力で《森の女人像/Sylvan
Caryatid》がアンタップしつつ、山札を掘り下げられるコンボが完成。
これには渡辺雄也も「わぁい、コンボー」とばかりにライフシートの裏にF6と書いてテーブルの上に置く。この後、すべての優先権を放棄するという宣言だ。
そして《群の祭壇/Altar of the Brood》がプレイされ、自分の山札がすべてなくなることが確定すると、相手が捨てたカードを確認して投了したのだった。
渡辺 1-1 芹澤
渡辺「やっぱ、今度はそっち回ったじゃん」
芹澤「いや、土地事故なんて今日一日で初めてだよ」
渡辺「こっちも結局《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》ひけないときついからな……」
Game 3
渡辺の初手には引けないときついと言っていた《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》。さらに、芹澤は土地が無くマリガンという展開になる。
渡辺の《道の探求者/Seeker of the
Way》プレイに「きつい」という芹澤だったが、ここでプレイした《奔放の神殿/Temple
of Abandon》の占術でカードをトップに置かれているので渡辺は「あれ、《森の女人像/Sylvan
Caryatid》だよー」とコメントする。
2ターン目に《森の女人像/Sylvan Caryatid》をプレイした芹澤に対して渡辺は《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》をプレイ。これで芹澤は、かなり厳しい戦いを強いられることになる。なにせ、まだコンボのパーツが揃っていないのだ。
だが、ここで、カードを引くと「おっ!?」と芹澤。
ここで引き当てたのは《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》。3マナをタップして《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》をプレイすると、《贈賄者の財布/Briber's
Purse》をゼロマナでプレイ。アンタップした《森の女人像/Sylvan
Caryatid》をタップして青マナを出すと、手札からプレイされたのは、《撤回のらせん/Retraction
Helix》。
芹澤「今日、初めての3ターンキルだよ!」
渡辺 1-2 芹澤
| |