By Akira Asahara
超高速デッキの対決となった準決勝。
赤単の朴は序盤の高速展開から、《ゴブリンの熟練扇動者》の打点を引き上げて、一気に勝負を決めるビートダウン。対して、芹沢は決まれば勝ちの《ジェスカイの隆盛》コンボだ。最高3ターンキルも出来るこのコンボで、準々決勝の3本目では、実際に3ターンで渡辺裕也を倒して、この準決勝へと上がってきた。軸の違う2つの最速デッキ、どちらが早く決めることができるか、高速決着必至の戦いが始まる。
GAME 1
先攻はスイスラウンドで上位だった朴。この対決でも先攻は非常に大きな要素だ。芹沢はコンボパーツが1つに寄っていた手札をマリガンする。
この対決、朴の方は相手のデッキが《ジェスカイの隆盛(KTK)》コンボと分かっているが、芹沢は朴のデッキが分かっていないらしく。朴の《血染めのぬかるみ(KTK)》のフェッチの起動に対して、《思考囲い(THS)》かなと声を出す。
しかし、そこから登場したのは《山》から《鋳造所通りの住人》。芹沢にとって、速さでタイムリミットを掛けられるのは手札破壊以上にうれしくない。よりによって最速の赤単が先手を取ってきていることが判明したからだ。
これには、思わず、つれーと言ってしまう芹沢。《奔放の神殿(THS)》をセットし、占術したカードを上に置いてエンド。
2ターン目からすでにフルスロットで動くのが赤単の真骨頂。朴は《激情のゴブリン(M15)》を出すと、即座に《槌手(M15)》をエンチャントして速攻を付けてアタック。2ターン目にして、4点のダメージを与える。芹沢のライフは16。
芹沢は2ターン目に《森の女人像(THS)》を置いてエンド。芹沢としても、コンボ完成へと1歩1歩近づていくしかない。
しかし、次に朴が送り出したのは《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》。このターンのダメージこそ、《森の女人像(THS)》でブロックして、2点に抑えるが、次のターンに襲い掛かってくる《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》は到底、通せるサイズではない。
出来れば、返しでコンボ決めてしまいたいが、芹沢の手札には《ジェスカイの隆盛(KTK)》や《撤回のらせん(BNG)》が無く、《テイガムの策謀(KTK)》や《神々との融和(THS)》といった探す系のスペルが多めだ。時間の猶予はあっても次のターンまでと予想できる上、とりあえず、返しのターンでは《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》を止めなくてはいけない。そこで芹沢は《贈賄者の財布(KTK)》をX=1で設置し、さらに《テイガムの策謀(KTK)》を使用する。そして見た、5枚の中から土地1枚をトップに乗せてターンエンド。
朴は《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》を追加。芹沢は《贈賄者の財布(KTK)》で1回は《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》の攻撃を勘弁してもらう。
そして、実質のラストターン。芹沢は土地を引くと《神々との融和(THS)》を使い、《ジェスカイの隆盛(KTK)》を手に入れる。残り3マナで《ジェスカイの隆盛(KTK)》を張り、《贈賄者の財布(KTK)》を手札から使用して《ジェスカイの隆盛(KTK)》のドローで《撤回のらせん(BNG)》を狙うが……引けず。
朴 1-0 芹沢
GAME 2
今度は先攻の芹沢だが、1マリガン。
ファーストアクションは朴の《鋳造所通りの住人(M15)》。それに対して芹沢は、2ターン目に《前兆語り(THS)》で防御を固める。《前兆語り(THS)》の占術は《ジェスカイの隆盛(KTK)》と《森の女人像(THS)》という2枚のキーパーツが見えており、これを両方とも上に置く。
朴は《発生器の召使い(M15)》を出すも、2/1の《鋳造所通りの住人(M15)》では攻撃が通らないため、ターンエンド。嵐の前の静けさが、この一時だけ訪れる。
3ターン目、芹沢はトップに置いておいた《森の女人像(THS)》を召喚して、ターンを返す。この段階で、ライフは19。と、まだ、時間は十分ある、ように思えたのだが、次のターンの朴の動きによって、一気に時間が加速する。まず、朴は、《発生器の召使い(M15)》を生贄にして、《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》を出すと、それに《槌手(M15)》をエンチャント、これによって、《前兆語り(THS)》をブロック不能に追い込むと、そのままアタック。5/3の《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》、3/1の《鋳造所通りの住人(M15)》、1/1のゴブリントークンが芹沢を襲う。
ここで、芹沢は《森の女人像》でゴブリントークンをブロックするかどうかを悩む。《森の女人像(THS)》はコンボパーツの1つであり、もし《タイタンの力(THS)》があって、失ってしまうと敗北は必至だ。しかし、このライフ1点がどこまで重いのか、というのも見えづらい局面。そして、意を決すると芹沢はゴブリントークンをブロック、《タイタンの力(THS)》は無く、8点のダメージが入りライフは11。
返しで、芹沢は積んでいた《ジェスカイの隆盛(KTK)》を引くと、《吹きさらしの荒野(KTK)》を使って《平地(THS)》をサーチすると、それをキャスト。この段階でライフは10。さらに、《贈賄者の財布(KTK)》をX=1で置き、《森の女人像(THS)》をアンタップして、起動できる、状態にしてターンを返す。
朴は返しのターン、《軍族童の突発(KTK)》でゴブリンを3体増やし、その内1体に《槌手(M15)》を付け、《前兆語り(THS)》を再びブロック不能にする。攻撃宣言に対応して、芹沢は《贈賄者の財布(KTK)》を《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》に使用する。当然、全員で攻撃する朴だが、すべてのダメージを計算すると、芹沢のライフは1残る。《森の女人像(THS)》でのブロックがまさに英断だった恰好だ。
死ななければ安い。いつの時代もコンボデッキに言えるのはこの言葉だ。
次のドローで《撤回のらせん(BNG)》を引き当てた芹沢はコンボを成立させ、《群の祭壇(KTK)》によって、速やかに朴のライブラリーを削りきった。
朴 1-1 芹沢
GAME 3
3本目になり、再び先攻は朴へ。
朴が1マリガン。マリガン後の手札は土地が1枚ながら、《鋳造所通りの住人(M15)》、《僧院の速槍(KTK)》と動ける手札をキープ。
芹沢も《前兆語り(THS)》から動ける手札ではあるが、《森の女人像(THS)》が無いのが気がかりな部分だろう。
朴は1ターン目《鋳造所通りの住人(M15)》から、2ターン目に土地を引き、《僧院の速槍(KTK)》に《槌手(M15)》を付ける攻めで一気にライフを削っていく。芹沢は2枚目の土地が《マナの合流点(JOU)》であったため、自分の手によっても、少しづづダメージが蓄積していく。
芹沢「《マナの合流点(JOU)》がなぁ」
と芹沢が苦しそうにいうと
朴「それはこちらの味方ですからね」
と朴も返す。タイトなダメージレ―スをしている両者にとって、1点1点が重く重く感じられる試合だ。そして、芹沢の出した《前兆語り(THS)》には《稲妻の一撃(THS)》で対処し、攻撃を続行する朴。この段階で、芹沢のライフは10。
芹沢は一旦、《稲妻の一撃(THS)》を《槌手(M15)》の付いた《僧院の速槍(KTK)》に打ち込み、クロックを減速させる。しかし、赤マナを支払うのにも《マナの合流点(JOU)》を使ったのでライフは9。朴はここで一気に勝負を決めたいが、マリガンのせいもあって手札は少なく追加戦力は引けていない、《鋳造所通りの住人(M15)》のみでアタックして8。
芹沢にとっては、ここが勝負どころだ。相手に火力さえなければ、そして、火力があったとしても、ダメージが軽減できるはずと踏んで戦場に《爪鳴らしの神秘家(KTK)》を送り出す。そして、《樹木茂る山麓(KTK)》を起動して、《テイガムの策謀(KTK)》を使い、ライフは6。次のターンに《爪鳴らしの神秘家(KTK)》さえ生きていれば、コンボが決められる体制を整える。
しかし、朴の1枚の手札は、考えうる限り最悪の火力、《灼熱の血(BNG)》だった。
これによって、芹沢はコンボパーツを失ったばかりか、3点のダメージを受けてライフは3に。さらに《鋳造所通りの住人(M15)》で攻撃され、ライフは2。
芹沢は少ない勝機に賭けて、《贈賄者の財布(KTK)》をX=2で置き、《鋳造所通りの住人(M15)》を止めにかかる。
朴がずっと土地を引き続けてくれればまだ、しかし、朴はドローしたカードを見ると「おっと」という言葉と共に戦場へと《ゴブリンの熟練扇動者(M15)》を送り出したのだった。
朴 2-1 芹沢
朴高志 決勝進出!
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