By Daisuke Kawasaki
StarCityOpenInvitationalだけでなく、BAZAAR
of MOXENのトライアルまで日本上陸!
といってもBAZAAR of MOXENってなに?という方も多いだろうと思う。
そんな方は、以下の紹介記事を是非とも読んでいただきたい。
端的に紹介すれば、とんでもなくすごいヴィンテージのイベントなのだ!
このイベントの2Byeだけでなく、開催地までの往復旅行券までプレゼントされてしまう驚きの大会。
というわけで、レガシーで開催されたこのイベントのヘッドジャッジを務めた本田
雅也氏にインタビューをしてみた。
--本日はヘッドジャッジ、お疲れ様でした。45名の6回戦とのことでしたが。
本田「そうですね。もう少し来るかなと思っていたのですが、比較的小規模なレガシーの大会になりました。とはいっても、一昔前に比べると、45人で少ないというのもすごい話で。レガシーのトーナメントは本当に人が集まるようになりましたね」
--今回、どういうキッカケで本大会に参加することになったのですか?
本田「あのですね、マジックの公認ジャッジには、『Judge
APPS』という、SNSなのかな、まぁ、そういうクローズドなサイトがありまして、そこでジャッジの募集依頼がかけられるんですよ。で、今回参加希望して、採用されたという流れです」
--なるほど。ちなみに、その募集を見て参加希望した理由はなんだったのですか?
本田「うーん……そこは正直ルーチンワークと言ってしまってもいい感じで参加希望した所はありますね。ジャッジは趣味でもありますので、参加募集を見て、スケジュールが空いていれば基本的には応募しますね」
--とりあえず募集があるなら応募するぞ、と。
本田「あ、もちろん赤字にならないなら、ではありますけどね。好きですし趣味ですけど、やりがいだけじゃいつかは続かなくなりますので。ジャッジは、長く続ければ続けるほど、スキルや経験が増えますし、そうなるとそれに応じて新しい仕事ができるようになるシステムなので、できれば長く続けたいですし、今回みたいにそれを踏まえて長くできるような待遇で募集してくれるところはありますから」
--グランプリなどでも、ジャッジフォイルなどの待遇はありますしね。
本田「そうですねぇ……実際、ジャッジフォイルなんかに対しては羨ましいですね、っていう人は多いんですけど、だったらジャッジをやってみればいいんじゃないか、ってわたしなんかは思うんですけどね」
--そうは言っても、やっぱりジャッジって非常にハードルが高いように感じる方も多いんじゃないかと思うのですが……
本田「そんな事はないですよ。ジャッジはやってみればできるもんですよ。向き不向きがあるって思うかもしれませんが、ジャッジも色々なポジションがありますんで。自分に向いた仕事をしていくっていう参加の仕方もあります」
--といいますと?
本田「極端な例かもしれませんけど、ジャッジの行う仕事の中にスコアキーパーという仕事がありまして、すごく簡単に言うと、対戦結果が記入されたスリップを入力して管理する仕事なんですけど。これは普通の人がジャッジでイメージするスキルとはずいぶん違うんじゃないかと思いますが」
--例えばフロアを動いたり、ルールの裁定を出したり、ってイメージですもんね。
本田「あ、もちろん、だからって楽だってわけじゃないんですよ。わたしはスコアキーパーを大きなイベントでやって経験はないんであまり大きな事は言えないんですけど、かなり特殊なスキルが必要なのは間違いないですよ。例えば……スリップ1枚を入力するのに仮に2秒かかるとして、2000人のイベントだったら1000マッチ、つまり1000枚のスリップを入力しなければならないので、少なく見て2000秒かかるわけです」
--入力作業だけで30分以上ですね。
本田「はい。もちろん、それは綺麗にソートされていて、順番通りにきて、って話ですしね。何より、トーナメントの進行などのキモの部分なので結構精神的に疲れるという話ですね」
--完全に特殊技能ですね。
本田「なので、大型イベントだとやれる人が少ないんですよね。まぁ、とにかく極端な例ではありましたけど、できそうかなと思う人は是非ジャッジになってみましょう。とにかく、色々なスキルを役立てる機会がありますからね」
--なるほど。本田さんは東海地区のあたりでジャッジをやっているということですが、個人的には本田さんってTwitterでよく見かけるというイメージがあるんですよね。
本田「といいますと?」
--いや、Twitter上でジャッジやイベント関係の話題が盛り上がることって結構あるじゃないですか。で、Togetterとかでまとめられてると、大体本田さんの発言もとりあげられてるなぁと。
本田「そうですね。なんだかんだでそういう話が好きなジャッジは多いですし、わたしもその一人ですね」
--個人的に、特に『ジャッジキル』の話題が出た時なんかはリアクションが多いですね。
本田「ああ、それはそうですね。『ジャッジキル』って言葉、大嫌いなんですよ」
--そうなんですか。それはなぜですか?
本田「『ジャッジキル』って言葉が生まれる土壌自体おかしいと思います。そもそもマジックという『ゲーム』で対戦しているのだから、『ゲーム』の中で勝敗を決めるべきです。ただ、誰かを打ち負かして勝ちたいってだけなら『ゲーム』である必要なんてないじゃないですか。『ジャッジキル』という言葉を使ったり、ましてや『ジャッジキル』を狙おうって考える人は、そもそもなんで自分が『ゲーム』で遊ぼうと思ったかもう一度思い出すべきじゃないですか?」
--なるほど。ジャッジの裁定で勝負が決まるというのはゲームではないと。
本田「もちろん、ジャッジが裁定を出し、結果として勝敗が決まることはあります。それはそういうルールですし、そうなってしまうことをしたのだから仕方ないです。ただ、ジャッジはトーナメント全体の公平性を保つために存在しているのだから、誰かが自分の利のために利用しようとすること自体がおかしいのです」
--よく、ジャッジの方にインタビューをすると『ジャッジを呼ぶことを臆する必要は無いのだから、参加者は積極的にジャッジを利用して欲しい』という言葉を聞くのですが、それはトーナメントを楽しむために利用するべきで自分の利益のためにジャッジを利用しようとするべきではないということですね。
本田「はい、そうです。そもそも、『ゲーム』なのだから楽しむべきです。そして、楽しみ方に応じて、ジャッジやトーナメントのレベルが決められていて、そのレベルで楽しむために必要ならジャッジがいるわけです。極端な話ですけど、『競技としてのマジック』を楽しみたいなら公平性のために厳密なジャッジングが必要ですけど、『個人的に友達と遊びたい』ならジャッジは必要ないから、ジャッジキルなんてくだらないことも発生しないじゃないですか。自分が楽しみたいと思うゲームのために整備されたものを本来じゃない形で利用したら、楽しさがすべて失われてしまう可能性がありますよね」
--実際、昔のマジックでジャッジングが厳密的すぎるほどにとられていた時期、98年頃のいわゆる暗黒期と呼ばれていた時代はそういった『ジャッジキル』的なことも発生していましたし、それで楽しさが削がれていたのはありましたね。
本田「そうですね。わたしもその頃はプレイヤーだったのですが、そういった経験を踏まえて、過去のジャッジの方々がノウハウを蓄積した結果、今の楽しめるマジックの状況があるのだと思います」
--非常に興味深いお話をありがとうございます。それでは最後に、読者の方になにかメッセージはありますか?
本田「色々と話してしまいましたが、やはりジャッジは楽しいと思います。よく大変そうといわれますけど、個人的にはスイスラウンドを9回戦とか戦う方が大変だと思いますし、人それぞれかなではないでしょうか。楽と楽しいは違いますし。ただ、興味を持ったなら、ぜひ一度経験してみてもらいたい、そうやって人を勧誘したいくらいにわたしはジャッジを楽しんでいます」
--お忙しい中、ありがとうございました。
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