By Daisuke Kawasaki
再び、330名を超える参加者で開催されたBigMagicOpen。
ここでヘッドジャッジを務めた川添 啓一氏にインタビューをしてみた。
--本日は、ヘッドジャッジ、お疲れ様です。
川添「ありがとうございます」
--今回、ヘッドジャッジをやるに至った経緯を教えていただいてよろしいですか?
川添「前回のBigMagicOpenは大会自体にも参加できていなかったんですが、予定が横浜だったので、少し顔を出しに来たんですよね。で、その時に顔見知りのスタッフの方に『次回はヘッドジャッジやりますよ』みたいな話をしていたら、依頼が来た、ってかんじですね」
--これまで、300名を超えるトーナメントでのヘッドジャッジの経験はありますか?
川添「今までは関東圏のPTQや、グランプリのサイドイベントであるスーパーサンデーシーズンなどなので、200名前後が最大ですね」
--一気に100人ほど参加者が増えたのですが、そこでの苦労はありましたか?
川添「今回、非常に強力なメンバーが揃っていたので、大きな苦労というのはありませんでしたね。個人的には、200人から100人ふえるのは、128名を超えた時に比べればそこまで大きな違いはないと思っています」
--といいますと?
川添「128名以下の7回戦までだと、個人への指示を出すのがヘッドジャッジの仕事なのですが、それを超えるとチームごとに仕事を振り分けて指示を出すことが必要になっていきますので、そこで大きく必要な技術が代わりますね。そこでの変化に比べれば、その先は人数が増え、スペースが広がることにどう対応できるか、ですね」
--なるほど。ちなみに、今回ヘッドジャッジをやるにあたって、苦労した点はありましたか?
川添「そうですね、大小合わせて様々なトラブルはありましたが、先程も言ったように歴戦の心強いメンバーだったので、朝15分から20分ほどのおしてしまいましたがその後は予定通りには進行しております」
--メンバー以外に、進行上で助けになったものはありますか?
川添「ひとつは、オンラインペアリングですね。まだ、試験段階の技術ではあるので、機材トラブルなどの原因になってしまうこともあるのですが、ラウンドの開始時の導線整理にかなり役立っています。もうひとつはプレイヤーが協力的だったことですね。今回、制限時間になってからスリップが回収できていないテーブルにジャッジを派遣したときに、すぐ帰ってくるジャッジがほとんどいなかったんですよ」
--すぐ帰ってくるジャッジがいないと時間がかかるように感じるのですが……
川添「いや、結局ゲームを進行していてジャッジがついていなければいけないテーブルは仕方ないんですよ。問題になるのは、すでにゲームが終わっているのに感想戦などをしてスリップを持ってきていないテーブルで、そういうテーブルはジャッジがフリップを回収してすぐ帰ってくるというわけです」
--なるほど。プレイヤー側の意識の変化もあるということですね。
川添「そうですね。ラウンド開始時の導線とスリップの回収で時間が少しずつでも巻ければ、終了時間が早くなりますからね。最近ではスリップレスでのトーナメント進行も検討されていますし、さらに進行が早くなる可能性はありますね」
--ところで、川添さんは、最初どのようなキッカケでジャッジを始めたのですか?
川添「2010年に日本で世界選手権が開催された時に、ジャッジステーションに遊びにいって勧誘されたのがキッカケでしたね。その後、2011年の頭からジャッジを初めて、2011年の8月頃にレベル1に認定されたので……ジャッジのキャリアは3年半くらいですね。3年半か、思ったより短いな……」
--たしかに、川添さんの活躍を見ると、3年半というのはかなり短いキャリアですね。実際にジャッジをやってみてよかったと思うことはありますか?
川添「基本的に楽しいというのが第一ですね。実際、ジャッジはとても楽しいということはもっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。単純に仕事が楽しいだけじゃなく、イベント運営について学ぶことができるのは自分は楽しかったですね。もちろん、例えば難しいパズルが好きな人には、ルールを学ぶ楽しみもありますし、他に、プレイヤー以上に色々な人と知り合うキッカケができるのも楽しいですね」
--プレイヤーよりジャッジの方がコミュニケーションを取るキッカケが多いというわけですか?
川添「キッカケが多いというよりは、色々なタイプの人とであうチャンスがあるという感じですね。プレイヤーは極端な話、ウマが合う相手とだけ付き合うということも可能ですが、ジャッジはそういうわけにもいかないので……ただ、どんなタイプの人でも、一日一緒に仕事をしたり、その後食事にいったりして、仲良くなっていくというのがありますね」
--なるほど。たしかに、極端な例をあげれば、プレイヤー以上にジャッジの場合はグローバルな付き合いが必要になることは多そうですから、そういう意味ではより広いタイプの人とであうチャンスがあると言えそうですね。とはいえ、英語の壁は高そうですが……
川添「実際、そういう方も多いですし、それで競技ジャッジをやることを敬遠する人は多いかもしれないですが、断固としてそんなことはないといいたいですね。英語は使えばそのうちできるようになっていきます。僕も英語はそんなに得意ではなかったので、これは実体験です」
--最初は英語は伝わらなくても、仕事の内容はお互いわかっているから、コミュニケーションはとれるってことですか。
川添「スタート地点はそうですね。で、意志が伝わるならそのうち喋れるようになります。喋れないと意志が伝わらない、ではなくて、意志が伝わってるうちに喋れるようになるもんです。なので、共通の仕事を海外の方とできるジャッジは英語を覚えるチャンスなんじゃないかなと僕は考えています」
--なるほど。英語ができないから競技ジャッジが厳しい、というのではなく、英語を覚えるために競技ジャッジをやる、という考え方もあるんですね。
川添「そうですね。実際、英語に限らず、ジャッジをやることによって、得られるスキルは他にも色々あるんじゃないかと思いますよ。例えば、レベル2になるとグランプリなどでチームミーティングを行ったりするんですが、これなんて、まさに短期的なプロジェクトチームを回すわけですから、仕事に活かせる部分はありますよ。少なくとも僕は就活でアピールする材料にはさせてもらいました」
--先ほど、イベント運営を知ることもできる、といった発言もありましたが、確かに様々な経験を積むことができる、っていうのはジャッジの知られざるメリットかもしれませんね。
川添「その辺りがもっと知られて、じゃあ、ジャッジやりたいって人が増えればいいんじゃないかと僕は思ってます。ジャッジが報酬をもらったり、ジャッジホイル配られたりってことに抵抗がある人もいるかもしれませんけど、僕はそれを目当てにジャッジになる人がでてくるのも歓迎すべきことだと思いますよ。別に儲けようが物目当てだろうが、それに見合ったプロ意識を持って仕事をすればいいだけだと思います」
--それでは、最後に読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
川添「無理強いもしませんし、全員がジャッジを楽しめるとはいいませんが、やはりやってみないとわからないかなとは思います。コミュニティが広がって、様々なチャンスを身につけるチャンスで、さらに褒章もある。そしてなにより楽しい、って考えたら一度ジャッジにチャレンジしてみるのはいいんじゃないかなと」
--本日はお忙しい中、ありがとうございました。
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