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Round 7: 安田 真幸(大阪府) vs 津村 健志(東京都) 
 
By Moriyasu Genki





大阪の強豪でレガシー選手権の上位常連者、安田と、言わずとしれた殿堂、津村のマッチアップ。
お互い全勝のまま駆け上り、これに勝てばシングルエリミがほぼ決まるという分水嶺。
安田「GP横浜の因縁って書いておいて」
というのは2010年のGP横浜で行われたRound4でのフィーチャーマッチのことだ。
津村スペシャルこと《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》入りの青黒赤コントロールに当時マッチを落とした安田はその惜敗の念を晴らすべく、気合十分にいま再び殿堂の前に座っていた。

お互いの実力が拮抗していることを示すかのように幾度かの同じ目のダイスロールがかわされる。
先手をもぎとったのは安田。7枚のハンドにも満足しているようであった。

 対する津村は苦渋の表情でマリガン。
シャッフルされたデッキのトップ6枚の中身は。
津村「全く一緒で1枚減りました」





 いっそ気分の良いダブルマリガンに微笑みを浮かべていた。
そして津村と安田の声が揃う。

「「MOか!」」

 お互いにヘビーなMOプレイヤーとしても知られる二人はMOのシャッフル機能の挙動に覚えがあるようであった。

 5枚から更に決意のトリプルマリガンを決めた津村は、バカラの"絞り"のような動きで手札を1枚ずつ確かめる。
ゲームが始まった。

Game1

《島/Island》を置いた安田に対し、ゲームの初動は手札が半分ほどの津村が制した。
《TropicalIsland》から《思案/Ponder》。トップの3枚に納得いったようで、入れ替えるに留まる。
安田は《VolcanicIsland》を置いて、ターンを返す。

続いて《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》でクロックを提示した津村は《不毛の大地/Westeland》で安田の《Volcanic Island》を割る。

返して《沸騰する小湖》を追加するも、未だ動かない安田。

《思案》で既に見ている《渦まく知識/Brainstorm》を公開して《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》というレガシーを代表するクリーチャーへと変身させる津村。
そのままメインで《渦まく知識/Brainstorm》を唱え、手札のリフレッシュを狙う。
元より手札の枯れている津村だが、ここでフェッチ・ランドを置ければ手札の質で枚数をカバー出来るだろう。ゆっくりと、セット・ランド。
安田に提示されたカード名は、《霧深い雨林/Misty Rainforest》。

 セット・ランドの《古の墳墓/Ancient Tomb》と合わせて4マナという安田の初動は、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》。
ジェイスの着地の攻防を巡って、ハンドとスペルが入り乱れる。

 安田がフルタップであることを確認した津村が《目くらまし/Daze》を唱えると、安田が《目くらまし/Daze》をコストにそれを《Force of Will》する。
対応で《霧深い雨林》を切って《UndergroundSea》を持ってきた津村は《渦まく知識/Brainstorm》で対策を探しに出る。
渾身の渦まきは、回答を、引きこんだ。《Force of Will》では手数の足りなくなる盤面で、2枚目の《目くらまし/Daze》。
最高とも言えるリアクションに安田はジェイスを墓地にそっと置く。

 手札が島のタイプを持つ土地ばかりの津村に追撃はないが《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》の3点クロックは思いの他に早い。
安田のライフがこれで10を示した。

 それまでに手札を溜めていた安田の次なる手もまた《精神を刻むもの、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》。
これは通さざるをえない津村の手元に、ジェイスから《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》がプレゼントされる。

 挫けない津村は《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を戦場に送り返し、またジェイスによって手札に戻される。

 一見すると延々と繰り返されそうな千日手だがこれでジェイスの忠誠値は1。
安田が何かしらかの解決策を講じない限り、ライフを《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》が再び蝕みはじめるのは明らかである。

 津村の《Hymn to Tourach》が安田の手札を空にすると《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》がこぼれおち墓地も掃除する。

津村は安全のままに《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を三度、戦場に送り込む。

ジェイスの《送還/Unsummon》では既にアドバンテージを得られない域にまで追い込まれた安田は、
トップのカードを確認したあと、祈るように《渦まく知識/Brainstorm》能力で解決を強引に狙いにいく。

 そして、二人目の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が安田のサポートに駆け付けた。
津村は再び《Hymn to Tourach》と《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》のパッケージを示して
ジェイス対秘密を掘り下げる者の構図にするも、
1人目のジェイスが安田のトップに残したものは《渦まく知識/Brainstorm》。

 渦まいて覗いた3枚のカードに得心した安田は、力強くジェイスの《送還/Unssumon》を使う。

同じ《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》のカードばかりを唱え続けている印象になる津村だが、唱えるたびその戦況は常に違うものだった。
今回は着地の前に《Force of Will》があてられ、戦線に駆け付けることが出来なかった。

これによってボードをコントロールしはじめた安田だが、度重なる《古の墳墓/Ancient Tomb》のペイライフによって、既にライフは6にまで落ち込んでいる。

三度目の《Hymn to Tourach》を引き込んだ津村はまだゲームを諦めていなかったが、安田が《時を越えた探索/Dig Through Time》で手札を補充。
ようやく彼のデッキ名でもある《実物提示教育/Show and Tell》を唱え、《Force of Will》のかわし合いのあと、それが通る。

安田の《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》が、ゲームを裂いた。

安田1-津村0

Game2

お互いの7枚キープでゲームが始まるgame2は津村が《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》。
安田は《思案/Ponder》からの《ギタクシアス派の調査》で切りこむ。
打って変わって、ゲームスピードの早さを視る者に想像させた。

《渦まく知識/Brainstorm》《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》《宝船の巡航/Treasure Cruise》《新緑の地下墓地》《TropicalIsland》
というアクティブに動けるハンドを公開した津村に対し、ゲームプランを脳内で組み立てていく安田。

《渦まく知識/Brainstorm》と《新緑の地下墓地》でまるっきり手札を入れ替えた津村は更に《思案/Ponder》、《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》のマナを出す能力から《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を追加した。

 安田は決めていたように《VolcanicIsland》から《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を対象に《RedElemental Blast》。
《思案/Ponder》で上の3枚を入れ替えた。

津村は更なる《思案/Ponder》と2体目の《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》を追加。

 津村が攻勢を取ったことを隙と読んだ安田。
待望のサイドカード、《防御の光網/Defense Grid》を通す。
《渦まく知識/Brainstorm》で手札を整えマナを立ててターンを渡す津村。

 《防御の光網/Defense Grid》による強力なバックアップを受けた安田の一手は《実物提示教育/Show and Tell》。
これには《Force of Will》を《目くらまし/Daze》をコストに、更に3マナ支払って唱えるファインプレイの津村。


手札を消耗してきた安田は《時を越えた探索/Dig Through Time》でパーツを探し出す。
相対するように津村が《宝船の巡航/Treasure Cruise》を《Ancestall Recall》同様1マナで唱えた。
『タルキール覇王譚』がレガシーに及ぼしたパワーカードの睨み合いだ。
3ドローから津村が戦線に追加した《タルモゴイフ/Tarmogyf》は、お互いに墓地を食いつぶしあいながらも、それでも2マナ4/5という《ヨツンの兵卒/Jotun Grunt》を上回るマナレシオを誇った。

 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》2体と《タルモゴイフ/Tarmogyf》のハイスピードなクロックに回答できない安田。
じきにコンボをスタート出来るというところで、先にライフが尽きてしまった。

安田1-津村1

Game3

再びの7枚スタート





《Tundra》《思案/Ponder》の安定したスタートを決める安田。
《不毛の大地/Westeland》で《Tundra》を即座に割る津村。

《VolcanicIsland》を置いて終えた安田に対し、動きは津村の《UndergroundSea》、《思考囲い/Thoughtseize》から。
《渦まく知識》で大切なカードを逃がして公開した安田のハンドは《グリセルブランド》《防御の光網/Defense Grid》《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》《沸騰する小湖》《島/Island》《古の墳墓/Ancient Tomb》。
強大なるデーモンを失った安田だが《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters Al》をタップインさせることでカウンター呪文への耐性を極める。

《実物提示教育/Show and Tell》《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》の組みあわせに、津村はなす術を持てなかった。

安田2-津村1

《時を越えた探索/Dig Through Time》の強さを存分に主張してくれた安田が、いち早く7勝というシングルエリミへのパスを手に入れた。
《宝船の巡航/Treasure Cruise》という現代の《Ancestall Recall》は津村の土俵際を守ってくれるだろうか。




 
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